Q 相続問題について、特に遺言の方法について教えて下さい。

A 相続と遺言の問題については、当事務所の平尾弁護士の講演の資料がありますので、
  下記をご覧下さい。


相続について

第1 基本ルール

 
 @遺言があればそれに従う。なければ、法定相続。
 
 A 法定相続:
第1順位 子供(2分の1)
          第2順位 親(3分の1)
          第3順位 兄弟姉妹(4分の1)
   配偶者は常に相続人となり、上記相続分以外が配偶者の相続分となる。
    (配偶者は常に相続人となるがこれを「配偶者別格の原則」といいます。)

 
 B 代襲相続:直系の場合は制限なし。兄弟姉妹の場合、おいめいまで。
 
 C 遺留分 :遺留分は総体として計算されます。
  @ 子供のみが相続人の場合 総体として2分の1が遺留分。
  A 子供と配偶者が相続人の場合   総体として2分の1が遺留分。
  B 親のみが相続人の場合   総体として3分の1が遺留分。
  C 親と配偶者が相続人の場合  総体として2分の1が遺留分。
  D 配偶者のみが相続人の場合  総体として2分の1が遺留分。
    ※ 相続人が複数の場合、総体的遺留分を法定相続分によって分配します。
       なお、兄弟姉妹には遺留分はありません。
       また、請求は死亡を知りたる時から1年以内に行わないと時効にかかります。

第2 相続財産


 @ 積極財産(不動産、動産、有価証券、売掛金、預貯金、貸金、賃借権等)
 
 A 消極財産(住宅ローン、その他借金、買掛金)
    ※ 他人名義や架空名義の預貯金
       他人名義にしていると、誰の預金か判らなくなるので好ましくない。
       他人にあげるつもりならば、通帳、印鑑もその人に渡しておくべきで、
       自分のものなら他人名義にしないことです。
    ※ 借地権・借家権は相続対象ですが、使用貸借(賃料がただの場合)は、
       死亡により終了します。
 

遺言について

第1 一般論

 
@  満15歳になれば誰でも遺言できます。ただし、後見人(成年後見人)が
    選任されている人は、判断能力が回復している状態の時、医師2人の立
    ち会いのもとで遺言を残すことができます。
 
 A  メリット 相続人が複数いる場合、銀行預金は払戻先が不明のため一旦
    ロックをかけることになり、また不動産もそのままでは共有名義となります。
    銀行預金を下ろしたり、不動産を単独名義にするためには遺産分割協議
    が必要となってきます。遺言をすることによってこうした相続人の手間を防
    ぐことができます。
 
 B デメリット 自筆証書遺言の場合、
     @ 内容不明確のためかえってトラブルとなる、
     A 分割協議がすすんでいるのに突然遺言が発見されてトラブルとなる、
     B 意思能力が問題となる
   等かえって、トラブルの原因となりえます。公正証書遺言の場合、内容は公
   証人によって吟味され、遺言の存在も明らかです。また、公証人と対面で作
   成されるため意思能力も担保されますので、上記@ABのデメリットは払拭
   されます。


第2 遺言書の方式


 
1 自筆遺言証書
    
遺言者が遺言書の全文、日付及び氏名を自署し、押印した遺言書
 2 公正遺言証書
    
遺言者が遺言の趣旨を公証人に口頭で述べ、これを公証人が公正証書
    として作成した遺言書

 3 秘密遺言証書
    
遺言書の本文は自筆でもなくともよいが、署名押印は自らなし、その証書を
    封じて封印し、これを公証人に提出し、公証人がその存在を公正証書作成
    手続によって公証した遺言書


 
公正証書遺言で必要なもの
 ・公証人役場(京都市は中京区東洞院御池にあります。
  また、宇治、舞鶴、福知山にもあります。)に少なくとも2回行く必要があります。
  尚、病気等で行けない場合、公証人に出張してもらうこともできるので、
  問い合わせてみてください。
  (1回目)
  印鑑証明書1通、不動産がある場合登記簿謄本と評価証明書、戸籍謄本
  (自分及び譲渡人のもの)住民票(更に証人2人のもの)を持参して行きま
  しょう。公証人と内容の打ち合わせをし、次回作成日の設定をします。
  (2回目)
  証人2人を連れて行きます。証人は認め印でいいですが、自分は実印を持
  って行きましょう。未成年、相続人となる者、受遺者やその配偶者、直系血
  族は証人となれないので注意しましょう。

第3 遺言に関する注意事項

 1 共同遺言の禁止
   たとえば、夫婦で夫が先に死亡した場合こう、妻が先に死亡した場合こうという
   様に記載し、2人で遺言することは禁止されます。この場合、それぞれが別の遺
   言を作成する必要があります。
 
 2 内容不確定、条件付きの遺言も無効です。
 
 3 字句の訂正(自筆の場合)は、誤りの部分を2本線で抹消し、正しい内容を横
   に書きます。そして、抹消部分に押印し、その行の上に「この行○字加入、○字
   削除」と記入し、そこに署名します。
 
 4 遺言の書き換え
   法律上は遺言の内容が矛盾していれば、日付の後の遺言が有効となり、前の
   遺言が当然に撤回となります。従って、新たな遺言をつぎつぎに代えいていっ
   てかまいません。ただ、前の遺言との関係で紛争の生ずる可能性もあるので、
   前の遺言の取り消しあるいは撤回を別途、遺言で行っておく方が無難です
   (遺言の取消撤回も遺言で言う必要があります)。
 
 5 妻、子など相続人に遺言する場合には「相続させる」と記載する。
   このような記載だと、不動産登記を相続人が単独で出来、登録免許税も少なく
   てすみます。「遺贈する」と記載した場合、遺言執行者の協力が必要となり、ま
   た登録免許税も高くなります。
   相続人以外の者に遺言する場合「遺贈する」と記載する。
 
 6 包括遺言の問題点
   たとえば、妻に全財産を包括して相続させるという遺言ですが、遺言事態は有
   効です。しかし、子供等他の相続人がいる場合、遺留分の問題が生じます。
   遺留分を侵害する遺言も無効とはなりませんが、後で、遺留分減殺請求等
   トラブルの生じる虞がありますので、その点は覚悟しておく必要があるでしょう。
   できれば、遺留分を侵害しないような遺言にするのが好ましいです。

 7 財産の記載方法
   @不動産  土地:「所在」「地番」「地目」「地積」
           建物:「所在」「家屋番号」「種類」「構造」「床面積」
           マンション:「一棟の建物の表示」「専有部分の建物の表示」
                  「敷地兼の表示」
    以上を記載していく。全て登記簿謄本の記載方法です。

   A預金    銀行の場合:「銀行名」「支店名」「預金の種類」
                    「口座名義」「口座番号」「金額」
            郵便局の場合:「郵便局名」「種類」「記号」
                     「番号」「名義」「金額」
    ※郵便局はプライバシー権を主張し、記号、番号、名義が確定されないと、
     弁護士からの照会、裁判所からの照会に応じません。
     従って、調査の不便を避けるためにもしっかりと特定する必要があります。

第4 遺言事項

 1 身分上の事項
   認知、未成年者の後見人等の指定
 
 2 相続に関する事項
    推定相続人の廃除・取消、相続分の指定・指定の委託、
    特別受益の持戻しの免除、遺産分割の方法の指定・指定の委託、
    遺産分割の禁止(5年以内)、共同相続人の担保瀬金にの免除・加重、
    遺贈の減殺の順序・割合の指定
 
 3 遺産の処分に関する事項
 
 4 遺言の執行に関する事項

 5 その他
   祖先の祭祀主催者の指定、生命保険受取人の指定・変更、遺言の取消
 ※ 上記の法廷遺言事項にあたらない遺言については、それが遺言者やその
   相続人または保管の関係人にとってどんなに重要な事項であっても、法的
   拘束力はありません。
   道義的、任意的履行を待つしかないことになります。(例:兄弟仲良くすること、
   養子縁組、離縁の意思表明等。)

第5 遺言執行者
 1 遺言の中には「相続分の指定」「遺産分割の指定」等、遺言を実現する必要
   のないものもあるが、その多くは遺言の執行により、遺言内容を実現する必
   要があります。
   というのも相続人全員の協力が得られれば良いが、利害が対立している場合
   協力を得るのはまず無理だからです。
   相続人も遺言執行者になれますが、利害対立が予想される場合は好ましく
   ありません。

 2 遺言による指定
   通常は遺言の中で弁護士等に遺言を指定しておきます。
   遺言以外の文書や口頭の約束等遺言執行者を指定しても、法的効力はあり
   ません。

 3 利害関係人の請求による家庭裁判所の選任
   遺言で指定されていない場合、家庭裁判所で選任されることになります。

 
(資料)
 1 公正証書遺言の公証人手数料
   
          遺産の価額           手数料
          100万円まで          1万6000円  
          200万円まで          1万8000円
          500万円まで          2万2000円
         1000万円まで          2万8000円
         3000万円まで          3万4000円
         5000万円まで              4万円
            1億円まで           5万4000円
以下、超過額5000万円までごとに、3億円まで1万3000円、10億円まで1万1000円、10億円を超えるもの8000円を加算する。

2 相続税

 @ 基礎控除額(5000万円+法廷相続人数×1000万円)
  @ 遺産総額が基礎控除額以下であれば、相続税はかかりません。
  A 生命保険金・死亡退職金
    (※相続税上は遺産として扱われていますが、本来は遺産ではなく、
      仮に相続放棄をしても受け取れます。)
     それぞれ500万円×法定相続人数の金額までは非課税です。

 A 配偶者特別控除
    課税価額合計が1億6000万円以下の場合、配偶者が全額相続
    しても税金はかかりません。



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